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東京高等裁判所 昭和24年(新を)3601号 判決 1950年4月15日

被告人

劉南変

主文

本件控訴を棄却する。

当審に於ける未決勾留日数中一〇〇日を本刑に算入する。

理由

前略。

弁護人桑名邦雄の控訴趣意第一点について。

案ずるに、刑事訴訟法第三百三十五条第一項は有罪の言渡をするには罪となるべき事実、証拠の標目、及び法令の適用を示さなければならないと規定している。即ち、同条は有罪判決の証拠説明として、証拠の標目を示すべきものとしているのであるから、原判決が右証拠の標目を列記したことは何等違法ではない。又同条にいわゆる法令の適用を示すとは、判示事実に対し、如何なる法令を適用したかを明らかにし、又判決主文の由て来る法令上の根拠を明示することを要する趣旨と解すべきであるが、右法令の適用を示すに当つては、逐一その適用の過程を具体的に説示するの要なく、判決事実並びに主文と相俟つて、如何なる法令を適用し、又判決主文が如何なる法令に基き導き出されたかを了知しうる程度に法令を引用、説示すれば足ると解すべきである。今本件につきこれを観るに、原判決は、法令の適用として刑法第二百三十五条第六十条刑事訴訟法第百八十一条第一項を挙示しているのであるが、これを判示事実並びに、主文と対照するときは、判示事実につき如何なる法令を適用し、又判決主文が如何なる法令に基いて導き出されたかを了知せしむるに十分であるから、原判決には所論のような違法はなく、論旨は理由がない。

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